それでも ハッピー エンド 小説。 #ダンキバ それは圧倒的ハッピーエンドで終わった。

フリーゲーム「ドリル魔王」感想

それでも ハッピー エンド 小説

キバナがダンデに対して恋心を自覚したのは出会って2年か3年かそこらの、お互いまだローティーンの頃だった。 そしてその淡く甘酸っぱくてほろ苦い恋情はダンデ本人にはもちろんのこと、他の誰にも打ち明けられるはずもなく、自分の胸の奥深くに閉じ込めたまま早幾年が過ぎていた。 ダンデとキャンプで会ったり野良バトルをしたりチャンピオンリーグ決勝でぶつかりあったり、あるいはポケモンバトル関係なくたまたま会ったからと二人で食事をしたり。 とにかくダンデに会うたび、ダンデの一挙手一投足に「好き」と言う気持ちは強くなっていって際限がないまま、気がつけばキバナはナックルシティでトップジムリーダーになっていた。 ここまでくるともう閉じ込めた気持ちはひとりで拗れに拗れ、持て余しているというのがキバナの正直なところだった。 かといって、相談したり吐き出したりなんてできる相手もいない。 自宅の寝室でベッドに腰掛けどうしたものかと大きくて重たいため息を吐いたとき、ふとキバナの目に入ったのがデスクトップパソコンのモニタだった。 誰にも言えないならメモ帳に書き出すのはどうだろう。 膨れ上がってあまりに肥大した恋心にひとり振り回されて疲れ果てたメンタルで、ふとそんな風に魔がさした。 ……魔がさした、としか言えなかった。 ふらふらと誘われるように座り心地にこだわって購入したオフィスチェアに腰掛けて、パソコンを立ち上げ一度書き出してみると、キーボードの上を滑らかに指が踊り出した。 ジムリーダーになってから、一介のジムトレーナーだった頃より格段に増えた書類仕事に慣らされたブラインドタッチが画面に文字を吐き出していく。 最初はただの感情の羅列だったものが、いつしか物語めいてきた。 仕事でナックルシティを訪れたダンデと当時見つけた、隠れた名店のバルで食事をしたときに、店の名物の串焼き肉を食べながら掛けられた言葉。 ワイルドエリアのげきりんの湖近くでキャンプをしたときのカレーの味。 3回目のチャンピオンリーグで決勝戦を勝ち抜きダンデに挑んだときのあのバトルで、4体目のポケモンが放った一撃の高揚感。 あのときあの場所の鮮烈な感情が、描き出すたび次から次に思い起こされた。 ——それ以来、寝る前に自分のパソコンにダンデへの、見せる予定もない告白を書き記すことがキバナの日課になった。 そんなテキストファイルがそろそろ50を超えたあたりでやっとキバナは我に返った。 デスクトップにずらりと並んだ. txtアイコンを見て、キバナは素直に正気の沙汰じゃねえな、と思った。 いやまあ、確かにメリットは大いにあった。 まず拗らせすぎて鬱屈すらしていた恋心を自制することができるようになったこと。 膨れ上がって弾けそうだった気持ちが落ち着いた。 少なくともダンデとの野良バトルでのひどい高揚感に任せて「愛してるぜ!」などとおぞましいことを叫びそうになることはなくなった。 また文章に起こすために公式戦のテレビ中継の録画や野良バトルのスマホロトムの録画データを見返しながら客観視するようになった。 これまでもバトルの反省のために見返すことはしていたが、そのときの自分の心情だとかダンデの反応だとかを加えて文章に書き起こすというステップを挟むことでより冷静に振り返ることができるようになった。 これによって、その時どうすることが最善だったか?という考察を行い、またそれを脳内シミュレートして実用できそうなら実際のバトルで試行するまでに至った。 今日は久しぶりにダンデと野良バトルをしたが、その考えた一手が効果的に作用したし、ダンデの表情を変えることもできた。 まぁ負けたけどな。 手ごたえはあったがやっぱり悔しい。 そしてデメリットはこのテキストファイルそのものだ。 バトルの考察にも使っているものではあるし削除するのももったいない。 かといってこのままでは将来的に黒歴史になりそうだ。 パソコンごとジュラルドンのラスターカノンで破壊するしかなくなりそうな気もする。 どうしようかなぁと考えながらも、手慰みにスマホロトムでぼんやりネットサーフィンに興じていた。 キバナはポケモンバトルで強くなるために情報収集するのは嫌いじゃないしむしろ好きなのだが、いかんせん本というものが、特にハードカバーのいかにもといった感じのものが、なんとなく堅苦しくてよそよそしくってちょっと構えてしまうのでどうにも食指が動かない。 どちらかというとネットで個人のブログやニュースサイトの特集なんかを参考にする方が手軽で好きだ。 まあとんだデマゴギーであることもザラにあったが、それも含めて情報を取捨選択していくのもまた楽しい。 だから今も検索窓にポケモンの名前と技を入力して良さげな記事を漁っていた。 画面をタップするとあるサイトのページに行き当たった。 「ん?これブログ記事じゃねえな」 どうやら個人が書いたノベルのようだ。 内容から察するに続き物のなかの1話らしい。 なんとなく興味本位でそのページだけ読み進めて、それからページ最下部のロゴをタップする。 それは個人が好きに小説を投稿したり読んだりまた感想を書いたりすることのできるSNSサービスらしかった。 投稿したり感想を書いたりなどには会員登録が必須だが、メールアドレスがあれば事足りる。 登録画面の指示に従って必要事項を打ち込んでいく。 およそ1分ほどで登録は完了した。 つまるところキバナはこの大量のテキストファイルを小説として公開しようとしているのだった。 やっぱりキバナが抱える恋心は拗れに拗れたままであり、彼は正気の沙汰でない。 とはいえさすがに実在の人物そのままを——しかもかたやガラルのジムリーダー、かたやガラルのチャンピオン、スーパーヒーローだ——使ってダンデサイドに訴えられでもしたらたまらない。 だからあくまでオリジナルのキャラクターとして再構成することにした。 要は自分の恋心をエンターテイメントにしてしまうのだ。 今だってすでにキバナ自身がエンタメみたいなものだ。 ファンを喜ばせるためにポケスタグラムでオフショットを載せたりなんて私生活を切り売りしているし、ジムリーダーとしての公の場ではポケモンバトルはショウ・ビズの側面も強い。 そうでなければ大きなスタジアムが観客でいっぱいになることも、リーグ戦をガラル全土に生中継することもない。 キバナは別にそれで構わなかった。 ダンデじゃないが、ポケモンやポケモンバトルを愛するものとして自分の存在をきっかけに興味を持ってくれるのなら、それはガラルのトレーナーが最強になる第一歩になるかもしれない。 つまるところ自分の恋心だってエンターテイメントにしてしまえば、叶う望みもない鬱屈とした絶望だって、少しはマシになるんじゃないかと思ったのだった。 そういうわけでそのノベルサイトにオリジナルキャラクターとして改稿した小説を1日1話ずつ載せていくことにした。 誰も読まないだろうと思っていたが新着ページに載ることで目をひくのか、1日数件はアクセス履歴がついたので、なんだか少しだけ愉快な気分だった。 投稿を始めて2週間ほど経ったある日。 いつものように更新しようとノベルサイトにログインしマイページを開いたところでキバナは自分の目を疑った。 それまで1日2桁程度だったアクセス数が一気に4桁近くまで増えていたのだから当然とも言えた。 作品へのコメントも2桁を超えている。 何がどうしてこんな自己満足のかたまりでしかない小説がバズったのか、まさか身バレしたのかと震える手でクリックすると、同じような感想が並んでいた。 抜粋するとこんな感じだ。 『なんでこの小説がBLカテゴリーに入れられているのか謎なくらいバトル描写が上手いですね』 『ポケモンバトルがめちゃくちゃリアルで引き込まれた。 臨場感半端ない。 悲劇のヒロイズムめいたBL描写は余計。 くどい』 『BL要素いらねえ。 純粋なバトルものとして読みたい』 『これってガラルのダンデとキバナがモデルですか?手持ちとか技構成とか一緒ですよね。 それにしてもバトルについてよく研究されていると思います。 これからも頑張ってください。 BLは苦手ですが楽しく読ませてもらいました』 「なんっっっでだよ!!!!!」 思わず吠えてしまった。 普通のアパートなら近所迷惑で壁ドンされるレベルだった。 ジムリーダーとしてポケモンたちを家の中でもボールから出すために防音にはこだわっているので苦情がくることもないだろうが。 そもそもキバナが住んでいるのは一軒家だ。 バズった原因を調べてみると、どうやらノベルサイトにアップされた小説を紹介している個人ブログの記事にされていたらしかった。 そこでもとにかくポケモンバトルの描写が絶賛され、恋愛描写に必要性を感じないといった旨の記事が書かれていたので思わず頭を抱えた。 というか元ネタがやっぱり特定されている。 指摘の通りポケモンバトルに関しては元の文章から手を加えていないから、詳しい人間にはわかるだろう。 そこについては否定も肯定もせず、とりあえず読んでくれてありがとうという当たり障りのない返信を書いておいた。 一度バズったことによってブーストがかかったのか、こまめに毎日更新していることも手伝って閲覧数はさながら倍々ゲームのごとく増えていった。 ついにはサイト内のランキング1桁にまで食い込む始末。 キバナにはなんだかおおごとになっているような気がしてならなかった。 もはや閲覧者にはダンデとキバナをモデルにしていることは周知の事実と化していた。 マジでダンデサイドから訴えられたらどうしよう……。 いやダンデ をモデルにしたキャラクター についてヘイト的な発言はしていないし、ていうか惚れてるんだからそんなことするわけないし、たぶんダンデに関してはイメージを下げるような描写はないはずだし、あくまで無料のwebサービスに投稿してるだけだから金もからんでないし、問題があってもいきなり訴えられることもないよな、多分……。 怒られたら謝って削除しよう……。 などと考えつつも、何も言われないのであればこのまま続けようとも思っていた。 血迷っていた末の行動とはいえ一度始めたことを途中でやめるのは座りが悪い。 幸いにして貰える感想にも徐々に『主人公の恋を応援してます』的な、恋愛描写に好意的なものも増えてきた。 ……いやよかったのか?結局現実では実るはずもないんだがな……。 とちょっと感傷的になってしまうキバナだった。 「キバナ様、これご存知ですか」 ある日のナックルシティジムにて。 今日も今日とて書類仕事をこなすために執務室でデスクトップの画面とにらめっこしていたキバナは、リョウタに彼のロトムスマホの画面を見せられた。 表示されていたのはここ数ヶ月毎日のように見ているwebサービスのUIデザイン。 そしてそこに羅列された嫌という程見慣れた文章。 その内容を理解して危うく「ヒョエ!?」と奇声をあげそうになってぐっと堪え、何食わぬ顔で「えー?なんだよコレ」とヘラリと笑ってみせた。 背中にはダラダラと嫌な汗をかいている。 リョウタに見せられたのは自分が毎日せっせと更新しているあの小説だった。 「ヒトミが友人に教えられたらしいのですが、この小説キバナ様をモデルにしたものなんですよ」 「へぇ、そんなモンがあるなんてオレさま愛されてるなぁ」 「いやそれが……その……主人公がライバルに片想いしているという内容でして」 「フーン……まあそういうのが好きなヤツもいるだろうよ」 ぺらぺらと白々しくも会話を続けているがキバナは嫌な汗が止まるところを知らなかった。 これどういう方向に着地するの?このまま続けたらうっかりじばくしそうでオレさま怖いんだが……。 「キバナ様が気になさるようでしたら、風評被害で正式に作者を特定し訴えても良いかと思うのですが」 「いいっていいって。 そんなのきっとキリがないぜ」 訴えるもなにも作者はキバナ本人である。 もうさっさとこの話題を切り上げてしまいたいがいきなりシャットアウトするのも普段のキバナの態度からすればあからさまに不自然だろう。 ある意味ポケモンバトル並みにどう対応すべきか思考をめぐらせている。 「そうですか……。 実はこの小説私も読んだのですがとにかくポケモンバトルの描写の妙が素晴らしいんです」 オマエもかリョウタ。 その感想、更新のたびに増えて今じゃ累計3桁を超えそうだぜ。 まあなんたって書いているのは一流ポケモントレーナーだからな。 ははは。 キバナは内心で半笑いを浮かべる。 「そうなのか、そりゃすげえな。 オレさまも読んでみようかな」 大して興味もなさそうな、いかにもどうでもよさそうな、そんな風を装ってキバナは返す。 心臓が痛い。 胃もキリキリと引きしぼられるようだ。 「おそらく実戦でもかなりの腕だと思われますし、一体何者なんでしょうね。 このナックルシティジムのトレーナーに勧誘したいくらいですよ」 何者ってそりゃあオレさまだもの。 かなりの腕だと思うぜ。 なにせガラルのトップジムリーダーさまだからな。 とは言わず、「ただのポケモンバトルマニアでこの辺に住んでるとは限らないんじゃねえか?」と返してみた。 「いやこれはこのナックルシティに住む人間でないと書けない小説ですよ。 地元の人間しか知らないような店の名物料理まで出てきてるんですから」 「へぇ〜……そうなんだ。 いつか見つかるといいな」 キバナは引きつりそうになる頰を抑えるのに必死だった。 何の気なしに書いた一文で居住地が特定されかかっている。 これ実はリョウタにバレててカマかけられてるとかだったらどうしよう……。 「ええ、いつか見つけ出してジムトレーナーに勧誘したいと思います」とキラッキラの眩しい笑顔で執務室を後にするリョウタを見送るので精一杯だった。 リョウタから話を振られてほどなく、ガラルのジムリーダーたちからもやはりメールなどでくだんの小説についての話題がひっきりなしに送られてくる。 面白がるようなからかうような文面のものもいれば純粋にキバナの風評被害を心配しているものや、はたまたポケモンバトルについての考察が素晴らしいから一読の価値はあると思うというまさにジムリーダーらしいバトル馬鹿もいた。 それらに適当に 見えるけれど墓穴を掘らないように必死に 返事をして、やべえよめっちゃくちゃ大ごとになってるじゃねぇかと布団をかぶってうずくまった。 不幸中の幸いといえば、ダンデからはそれについての連絡が来ていないことだ。 さらにはノベルサイトに登録したメールアドレスにも、ダンデサイドからの警告メールは届いていない。 ダンデが把握していないだけか、もしくはどうでもいいと思っているかのどちらかだろうなとキバナは思った。 恋心を小説として昇華するようになって久しいが、現実ではダンデはキバナではない相手に敗れてチャンピオンを辞していた。 それでもなおリーグ委員長としてもバトルタワーのオーナーとしても、チャンピオンだった頃よりさらに多忙を極める男だ。 こんなくだらない、ライバルからの片想いの詰まった低俗なエンタメ小説なんて読む価値もないだろう。 ダンデはどうにもどこか浮世離れしているというか、あまりインターネットに精通しているイメージもない。 できればそのまま知らないままで、結婚するなりなんなりしてほしい。 キバナは布団で作った暗闇の中でそんな風に考えて、久しぶりに恋心に振り回されて落ち込む感覚を味わった。 ……どれくらい経っただろうか。 そういや今日分の更新がまだだったなぁとかぶっていた布団をはいだところで来客をつげるインタフォンが鳴った。 そんな予定はなかったし、今通販しているものなども心当たりがない。 一体誰だろうかと考えながら、どこか気分の浮上しないままぼんやり廊下を歩いて、インタフォンの画面も見ずにドアを開けた。 「やぁキバナ。 久しぶりだな」 ダンデが笑顔で立っている。 反射的にドアを閉めそうになった右腕をかろうじて押しとどめ、「おう、久しぶり」と笑顔を見せた。 拒絶したかったわけじゃない、今の今まで打ちのめされていた恋心を向ける相手がいたから、ちょっとびっくりしただけだ。 叶わないのはわかっていても、それはそれとしてやっぱり会えれば嬉しい。 かたやシュートシティ在住、かたやナックルシティ在住。 同じガラルに住んでいるとはいえ、ふたつの都市の間には山一つある程度に物理的な距離がある。 加えてふたりとも多忙を極める立場にある。 会いたいと思ってもなかなか会えるものじゃない。 それがまさか、忙しさの合間をぬってこうしてナックルシティまで会いに来てくれるなんて、友人冥利に尽きるじゃないかとキバナも自然と笑顔にもなる。 まあまあ上がれよとキバナが玄関を明け渡すと、ダンデは後ろに控えていたリザードンをボールに戻してありがとうと微笑んでみせた。 なるほどどうやらこの筋金入りの方向音痴はいつものごとくリザードンの案内でキバナの住まいまでやってきたらしい。 あとでリザードンも労ってやらないとなと考えながらドアを閉めた。 つまりキバナは油断していたのだ。 「この小説、キミが書いたものだろう」 と、リビングでソファに座って、リョウタやジムリーダーたちにさんざん話のネタにされたくだんの小説の1ページを見せられるまで。 「え゜!?」 だからダンデにそう面と向かって話を振られて、リョウタにそうしたように取り繕うことができなかった。 自白したも同然だった。 「あぁ、いや、その、いや……ええと……」 めのまえがまっくらになったような、頭が真っ白になったような。 せめて否定だとか気の利いた言い訳だとか謝罪だとかそんな言葉が出てくればいいのだがもはや何も浮かばない。 「この描写力は素晴らしいな。 キミのポケモンバトルの思考の癖がよく出ていて、すぐにキミだとわかったよ」 あわをくったキバナが何も言えずにいると、追い討ちのようにダンデが畳みかけてくる。 キバナはもう涙目だ。 「キミが書いたと思って読むと、なんというか、壮大なラブレターのようで。 思わず寝る間も惜しんで一晩で最新話まで読んでしまったぜ」 「へぇ……、……………、………え?…………ん?」 ダンデの言葉を受け止めて、咀嚼して、やっと理解して、それでもなお混乱をきわめるキバナの頭には疑問符が飛び交っている。 ダンデはそんなキバナの人よりも大きな手をそっと握る。 ビクッとキバナの身体が跳ねた。 そんなキバナを見つめるダンデの表情といったら、あまいミツを100倍濃縮したようなそれだ。 こいつこんな表情もできたのかと思わずキバナの思考が明後日の方向に飛んだ。 「つまりキバナ、オレはキミを」 「ちょっと待った」 すっと真顔になったダンデが決定的な一言を言うより前に、やっと正気に戻ったキバナは反射的に遮った。 む、と肝心なところでくじかれたダンデはそれでもキバナの意思を尊重するように口をつぐむ。 「オレの勘違いだっただろうか」 「……いや、オマエが確信しているんだし、それはもう誤魔化す気はねえよ。 あの小説を書いてるのはオレさまだし、まあ小説としての体裁を整えるために誇張した部分もあるが、あそこに書いてあることは真実オレさまの気持ちだ。 偽りはない」 「じゃあ」 「でもダメだ。 だってオレさまは、その……、つまり……アレだ」 それはキバナがずっと前から決めていたことだった。 叶うことのないまま死ぬはずだった恋心が今になって随分な番狂わせを見せる現実が目の前にあらわれても。 面と向かってダンデに言うのはかなりはばかられてしまって、どうにも口が重たくなってしまう。 けれどキバナは、そうすると決めていたのだ。 「オレさまは……、あの小説をエタらせたくないんだ!」 キバナが意を決してバトルタワーの屋上から飛び降りるくらいの覚悟でダンデに言うと、ダンデはねこだましを食らったような表情になって、それからすぐに「ははははは!」と大口を開けて笑った。 「ふふ、ふふふ……、キミは本当に面白いな」 ダンデは笑いすぎて涙まで浮かべる始末だ。 「オマエとの出会いから始まって、やっと今に追いついてきて、あともうちょっとで完結なんだ……。 あの小説は、絶対叶いっこないってオレさまの鬱屈を晴らすものだから、今叶ってしまったら続きが書けなくなる……」 「わかった、わかったよ。 キミがあの小説をきちんと完結させたら、また来るから。 そのときは、続きを言わせてくれるよな」 ダンデは優しい声でそう笑って、握っていたキバナの手を解放したかと思うとそのまま抱きしめて、一瞬ぎゅっと密着してからすぐに離れる。 明らかに、今までの友人としてではない種類の好意をにじませるダンデの振る舞いに、キバナはどうにも顔が、いや顔と言わず全身が火照る。 「ああ、うん……だから、その、待っててくれ」 「わかった。 毎日あの小説を読み返して待ってる」 「それはちょっと勘弁してくれ……」 げんなりしたキバナに、ダンデは爽やかに笑った。

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敵の令嬢にTS転生した僕は、それでもハッピーエンドを望む(マージナル(旧春木直樹))

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Contents• 橋爪駿輝とは?職業はフジテレビプロデューサー?wiki的プロフィールは? 橋爪駿輝は2017年に 『スクロール』で小説家として デビューを果たします。 橋爪駿輝の 『スクロール』は デビュー作にして 俳優の 成田凌や 飯豊まりえらに 絶賛され話題の新人として 注目を集めました。 そして 橋爪駿輝が2018年に発表した 『楽しかったよね』に収録された 「ファン」が 松本花奈監督、 本田翼主演にて 映像化されており小説家として 順調にキャリアを重ねています。 橋爪 駿輝のwiki的プロフィールは 下記のようになっています。 橋爪 駿輝 はしづめ しゅんき 誕生年 1991年 出身 熊本県生まれ 大学 横浜国立大学卒業 橋爪 駿輝が話題になっているのは 小説家以外のもう一つの職業を 持っていることです。 橋爪 駿輝のもう一つの職業は 何とテレビプロデューサーで フジテレビジョンの編成制作局制作センター 第一制作室所属ということでした。 小説家とテレビプロデューサーの 二つの顔を持つ 橋爪 駿輝の 今後の活動に注目が集まっています。 短編映画 「ファン」のあらすじ、 ストーリーとキャストは 下記のようになっています。 原作には存在しない【A】という人物が、女子高生・堀江光の静かに、しかし激しくもがいている言葉と一体化していく様を演じる。 監督を、弱冠20歳でありながら数々の映画祭に作品を出品、映画賞を受賞し話題をさらった松本花奈が務める。 原作は、「楽しかったよね」(講談社)。 青春の終わりを描いた文芸界注目の俊英・橋爪駿輝による小説となる。 さらに、数々の話題作に出演する片山友希をはじめ、石橋侑大、中山雄斗、會田海心、古川琴音、白戸達也など、気鋭のキャストたちが作品を彩る。 この YOASOBI よあそび の 「ハルジオン」は 超没入エナジードリンク 「ZONe Ver. 0」のコラボ企画 「IMMERSIVE SONG PROJECT」の 参加楽曲ということですが、 この 「ハルジオン」の 原作小説を手掛けたのが 橋爪 駿輝ということで こちらも大きな話題を呼んでいます。 YOASOBI よあそび の 「ハルジオン」の 原作小説は下記のようになっています。 原作小説 「それでも、ハッピーエンド」 橋爪駿輝 著 また YOASOBI よあそび の 「ハルジオン」の トレイラー動画も公開されています。

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新曲「ハルジオン」の原作小説とは? IMMERSIVE SONG PROJECTのために気鋭の若手小説家• 橋爪駿輝が書き下ろした短編「それでも、ハッピーエンド」。 その小説をもとに新曲「ハルジオン」は作られました。 映像ではikuraによる小説導入部分の朗読が・・・ せつないですね・・・。 心にグッと入ってきます。 映像が広がり、心を掴まれます。 5月11日(月)よりReader Store、kindle他主要電子書籍ストアにて順次配信 電子書籍版「それでも、ハッピーエンド」 橋爪峻輝・著 価格:300円+税 小説家 橋爪駿輝 氏 名 橋爪駿輝(はしづめしゅんき) 出 生 1991年生まれ 出 身 地 熊本県 出身大学 横浜国立大学卒業。 職 業 日本の小説家 テレビプロデューサー 高校時代より執筆活動を開始し、横浜国立大学を卒業後、フジテレビジョン編成部に所属。 スナックで偶然出会った編集者さんと知り合ったことがデビューにつながった。 デビュー 2017年に『スクロール』(講談社) 俳優の成田凌、飯豊まりえらも賛辞を寄せるなど話題の新人として注目を浴びた。 2018年 第2作『楽しかったよね』(講談社) 収録の1篇「ファン」が本田翼主演により映像化されました。 彼らの 最大の特徴は小説を原作として物語や世界観を音や歌詞に落とし込んで、一つの楽曲を作って一つの作品として完成させるという活動をしています。 MV1000万回再生されたデビュー曲『夜にかける』は『タナトスの誘惑』という小説が原作です。 夜にかける プロデューサー Ayaseは 小説の中で出てくるフレーズだったり描写っていうものをいかに音と化して表現するかと言う闘いなので、曲を聴いただけでも一つの物語としてちゃんと完結するように作ると言う、そこのバランスをうまくとってあげるというところに結構力を注いでいますね とインタビューで語っていた。 Ayase ごめん俺死んだのかと思った。

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